2018年4月21日土曜日

プレゼンテーションとカレンシーの交換

 メーカーの営業担当者を対象に、「影響力の法則 プレゼンテーション研修」を実施しました。このメーカーの業界では、市場環境の変化、競合の激化に加え、小売りの統合で流通の交渉力が高まっています。価格競争に巻き込まれないために、営業にはこれまで以上に高い付加価値の提案が求められ、知恵を使わなければなりません。

 そこで、営業担当者が「影響力の法則」を学び、営業活動の中心に「カレンシーの交換」を置くことにしたのです。

 プレゼンテーション研修と言えば、四半世紀ほど前、私たちがいつも使っているプレゼンテーションツールの日本語版を開発したプロジェクトリーダーが、プレゼンテーション研修に参加していたことを思い出します。私はそのとき初めてパワーポイントを見て驚きました。美しいカラー、アニメーション、簡単に聞き手の注意を惹くことができます。なにしろその研修はOHPを使って行っていたのです。でも彼らのプレゼンテーションははっきり言って下手でした。それが研修の終わりになると、話しの組み立てに無理がなくなり、説得力が増し、すばらしいプレゼンテーションになったのです。「これからは、こんなプレゼンが普通になるな」と思ったものです。

 それから年月がたち、"パワポ"を使うのは当たり前になりましたね。でも、小手先のテクニックの方が幅を利かせ、内容よりも華やかなプレゼンショー化しているようにも思います。プレゼンテーションの目的は、メッセージと情報を発信し、相手を動かすことに他なりません。本来の主旨から外れたプレゼンテクニックに辟易とし、プレゼンテーション研修は、何年も行っていませんでした。

 2年前、クライエントの依頼でプレゼンテーション研修を実施することになりました。このクライエントは、影響力の法則をよく理解していただいている方です。そこで影響力の法則、カレンシーの交換を軸にしたプレゼンテーション研修を行ってみたところ、これが思った以上にフィットする。カレンシーを意識してプレゼンを組み立てると、論理的で説得力が増す。スライドも、相手のカレンシーになるメッセージに絞り込むと、ずっと見やすく、インパクトが出る。果たしてこの会社は、業界全体では停滞している売上げを二桁で伸ばすことになったのです(もちろん、他に多くの変数があります。例えば、いい新製品が出たとか笑)。

 思えば、プレゼンテーションの目的は相手を動かすこと。影響力を発揮することがプレゼンテーションではありませんか!

 昨日の研修では、すべての参加者にリアルなケースを実演させ、互いにフィードバックをさせました。この時間の中で、話しの説得力は格段に高まり、「それでいこう」と言わせるものになったのです。みんなのコメントには、「カレンシーの交換で考えたことがなかったが、これなら売れる」「相手の立場を考えたら、うるさいお客も怖くない。相手も人間なんだと思った」などがありました。

 みなさんも、プレゼンテーションの計画に、「カレンシーの交換」を加えてみてください。手応えがあると思いますよ。

2018年4月19日木曜日

大きな交換

 来週の仕事に備えて、「日産のU字回復 1999年〜2001年」というケース教材を読んでいます。私は1999年当時GMにいて、同業の日産自動車が苦境に陥っているのを目の当たりにしていました。「いよいよ日産も大変だな」と同情する一方で、業界に吹き荒れる嵐に脅威を感じていたのを思い出します。おかげで日産やカルロス・ゴーン氏の関係の書籍は読みました。

 久しぶりに読むと、あらためてリーダーの力を思い知りました。日産自動車は、1999年の販売台数250万台、売上高6兆円の企業でした。現在は550万台、12兆円と、ほぼ2倍の規模に成長をとげています。日本の自動車販売市場は、1991年の777万台をピークに1999年には580万台、現在は520万台に縮小している一方、世界では5500万台(1999年)から9500万台(9500万台)に拡大している。日産も国内販売は減らしていますが、グローバルではおよそ3倍に台数を伸ばしている。1999年当時の延長には日産はなかったはず。グローバルに舵取りし、これだけの成果をあげてきた日産自動車、カルロス・ゴーン、あらためてすごいことだと感心します。

 そのマネジメントについては、いろいろ言われていますからよいとして、あらためて感心するのは高い目標に対して、従業員にコミットメントを求めて達成させてきたこと。初期のリバイバルプランで日産が目標として掲げたのは、購買コスト20%削減、サプライヤーの系列解体、ディーラー10%閉鎖、国内生産能力30%削減(工場閉鎖)、2万人超の人員削減、などです。厳しい現実を直視すること、問題の理解、必ず達成するという強い決意、実行、を、すべてのマネジャー、従業員に求めているのです。
 誰だって、これまでの自分の仕事を否定されるのは愉快ではありません。「君のこれまでの仕事は、まったくもって論外のレベルだ」などと言われて、穏やかではいられないでしょう。変化に抵抗する気持ちがわき起こるのは当然です。

 これまでの仲間と決別させなければならない、自分たちが築いた資産を手放させなければならない、会議には英語で臨ませなければならない。そこでリーダーが交換に差し出したカレンシーは何だったか。

 CFTと呼ばれるタスクフォースのメンバーに抜擢し、会社の重要な意思決定に関わらせる、業績給制度を取り入れる、従業員の質問に直接答える、責任は自分ひとりで負うと明言するなどが書かれています。これらがすべて、カレンシーとして交換されています。さらに日産のもつ技術力を高く評価し、従業員に君たちならできる、と繰り返し説く。この繰り返し伝えるという点が、カレンシーとして重要なことだと思うのです。

 多くのマネジャーは、一度はビジョンを語る。従業員を褒める。でもいつも同じことを何度も言う人は案外少ない。いつも同じことを言うということは、いつも同じことをしなければならない。一貫した行動こそ信頼です。「もっと裏付けをとって来なければだめだ。君ならできる」と何度も突き返しても、実は部下に要求を繰り返すこと自体が、カレンシーになっていたのでしょう。

 大きな要求には、大きなカレンシーが必要になる。あらためて実感したところです。

2018年4月15日日曜日

ある編集者のすごい力

 幻冬社、という出版社が設立されたときのことを覚えています。創業を宣言する新聞広告にインパクトがあった。それから20年あまり、幻冬社の本を数え切れないほど読んできたと思います。

 その創業者が見城徹氏。この本を読んで、彼のプロフェッショナルの影響力に感服しました。

 若い見城氏が角川に入社したころ、作家石原慎太郎はまだ角川で書いたことがなかったそうです。彼は石原氏に書いてもらおうと、考えます。初めて原稿を依頼する作家の本はすべて読むのが彼のスタイルです。多くの編集者がそに作家のベストセラーしか読まないそうですから、大きな違いですね。私が書き手だったら、「先生の本はすべて読みました」という編集者を信頼します。自分の業績を理解しているというのは、大きなカレンシーになる。でも、相手の業績を理解して認める人、実際は少ないですね。

 石原氏に書いてもらうのは容易なことじゃないと感じた見城氏は、さらに大きなカレンシーを用意します。それは、石原慎太郎のベストセラー「太陽の季節」の暗唱です。丸暗記して口に出せるって、すごいですよ。よほどの思い入れがなければ、そんなことをしない。本気でなければ暗唱しないではないですか!

 これにはさすがの石原氏も、もうわかったからいいよ、と言って執筆を約束をする。すごいカレンシーの交換です!結果、その後見城氏は、角川、幻冬社を通じて石原氏に数十冊の原稿を書いてもらったそうです。

 本気で大きな結果を得たければ、これぐらいの覚悟を示す必要があるという好例です。自分にどんな応用ができるだろうか。

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2018年4月5日木曜日

自分自身への希望

 街を歩くと新入社員が目立つ今日このごろです。
 彼らを見ると、 将来にどんな希望を抱いているだろうか、と考えます。夢のある人、特に希望はないという人。彼らの時代は大きく変わっていくことでしょう。

 環境が変わっても、自分自身に対する希望は見失わないでほしいと願います。

 本当にやりたいことは、30代になって見つかるかもしれない。その時にやるべきことを実現させるように、味方を増やし影響力を高めていきましょう。それには、今から動くこと。挨拶を交わすといった小さなこともおろそかにはできません。

 約束を守る、というと簡単に聞こえますが、実際には仕事の約束を果たすのは大変なこと。多くの社会人が「約束を守れないのではないか」と苦しんでいます。

 約束を守るためには、スキル、知識を磨き、信頼できる仲間との関係を今から築き上げていくのです。やがて味方が増えれば、どうしてもやりたいこと、必ずやりとげなければならないことを、実現できるようになるでしょう。

 自分自身に対する希望は持ち続けていこう。

2018年3月5日月曜日

ドクターXと影響力(2)

    プロデューサーの仕事ぶりに感心したというのが前回のお話。いよいよドラマを観るとやはり次に注意が行くのは、主人公の影響力です。「医師免許とたたき上げのスキルが彼女の武器だ」というナレーションの通り、主人公大門未知子は他を圧倒する外科手術のスキルでやりたい仕事をことごとくものにしている。やりたい仕事は、その人の持つスキルと交換でゲットするという、まああたりまえの話ですが。

    ただ、彼女は大金に興味がなく、金よりも難しい仕事を求める。その素振りは難しい仕事に取り組むことが目的になっているように、まわりから思われるのですが、実際は当の本人は患者のことだけを考えている。それに気づいた同僚の中から彼女の味方が現れるのも面白いところです。伊東四朗演じる元上司が、「大門を見ていて自分が医者だということを思い出す」と言っています。その仕事ぶりから、院内政治に明け暮れていた院長のプロフェッショナルとしての大義を呼び起こしている。これは大きいカレンシーです。だから、かつての上司たちが、たとえ疎ましく思っても彼女を手術に呼びたがるのはわかります。

    まあ、そういういことを口で表現しないから、仲間に誤解されコンフリクトを起こすんですけどね。では、言葉で表現すればいいかというと、どうか…。孔子は言っています、「巧言令色少なし仁」って。美人でも三枚目で、手術以外は何もできない、というのが、ファンタジーの主人公としてはちょうどいいんでしょう。やり過ぎれば、ネガティブ・カレンシーになってしまうから。

2018年1月31日水曜日

ドクターXと影響力(1)

 正月は仕事を残していたので、どこかに出かけることがなく、仕事、初詣、それから空いた時間に「Doctor-X」をAmazonプライムビデオで観ていました。

 そのようなテレビドラマの存在も知らなかったのですが、新聞で見たこの番組のプロデューサー内山聖子さんは私と同世代、新卒からテレビ朝日に入社して長くドラマをつくっていたという記事を読み、同じ会社で30年あまりのキャリアを積むと影響力はどのように発揮されるのだろう、と興味をもって覗いてしまったのが始まりでした。

 結果、全部観てしまった。20%という高い視聴率を誇るのは納得です。内山氏が、長年培ってきた影響力を、このプロジェクトに注ぎ込んでいるのが感じられ感心しました。具体的には、西田敏行、遠藤憲一といった優れた俳優が、彼らの持ち味をいかんなく発揮し、それぞれの役をみごとにつくっている。この番組作りに情熱を傾けていなければできないだろう、と感じさせます。内山氏のインタビューには、主人公を演じる米倉涼子とは信頼関係で結ばれており、あうんの呼吸で仕事ができる、とありました。ここでも、プロデューサーの影響力を感じます。俳優たちの有機的なつながりが、話は荒唐無稽なのに、妙なリアリティを感じさせる。

 同年代の多くの仲間たちが、きっとこうやって仕事をしてきたのだろうと想像します。もちろんみんながそうとは限らない。「Doctor-X」を観て、キャリアとはこうありたいと思った次第です。(つづく)

2018年1月5日金曜日

働き方改革と影響力

安倍首相によると次期通常国会は、「働き方改革」国会だそうです。

このテーマ自体には関心が低かったのですが、私自身はこのテーマに対する仮説を持っています。

それは、決定力をつけること。組織の中でものごとをさっさと決め、実行に移し、結果を出すというスピードをアップすることによって、メンバーの力が発揮され、イノベーションが起こりやすくなり、活気も出る。

現実は、決める勇気がない、情報がない(勉強不足)、決めてもみんながついてこない、意見対立で決まらない、といったところでしょう。
だから日中延々と会議して、よる残業。日中上司の顔色を見て忖度することにエネルギーを費やしてしまう。

今年は「決定力」ですよ。そのためには、やはり影響力が欠かせません。同意に持ち込むか、コミットメントを得るかが、決定力の主な課題なのですから!