2014年3月26日水曜日

完璧な上司はいない

仕事を忘れず、かつ思いやりがあり、部下の気持ちを傷つけずに間違いを正し、成り行き任せにせず部下に自由裁量を与えることができる完璧な上司など、本当にいるのか?賢くて万能な上司は想像上の世界にしかいない。これを真に受ければ、組織というワナにはまった「夢見る部下」がとり残されるだけだ。(『影響力の法則〜現代社会を生き抜くバイブル』2005 デビッド・ブラッドフォード&アラン・コーエン 税務経理協会  p132)

    現場のみなさんに話を伺うと、最後は上司に対する不満になることが多いです。「上司の戦略は間違えている」「上司にはもっと支援して欲しい」「あまり口を出さないで欲しい」などです。できることなら完璧な上司であってほしい。今朝の新聞には「理想の上司」ランキングが出ていましたが、凄い上司を演じた俳優さんが並んでいますね。このような上司に対する願望を"Romance of Leadership"と呼び、そのようなリーダー像を"Heroic Leadershp"と呼びます。自分の経験を振り返っても、そう感じることはありましたから、事実をついているのだと思います。

    しかし、現実には上司も人間だしなんでもできるわけではありません。変化が早い現在の事業の環境の中では、むしろできないことが増えています。マネジャーの悩みに、「部下の専門分野がわからない」というのが増えています。だから指導できない、といって悩むマネジャーも少なくありません。メンタルヘルスに問題を抱えて、休職してしまう人もいました。それをみて、マネジャーにはなりたくない、という若手も多いと思います。

    でも、上司がなんでもできるわけではない。これが現実なのです。マネジャーはこの現実受け入れて、対応を変えなければならないし、それでうまく行っている人もいます。上手に影響力を発揮を発揮しているマネジャーもいます。一方、部下も、この現実を受け入れて、役割を変えなければなりません。部下も上司に影響力を発揮して、協力関係を築かなければなりません。『影響力の法則』では、(ジュニア)パートナーになれ、と提案しています。

   その方が、仕事を面白くやれるし、事実楽しんでいる人たちは、そうしていると思います。上司に対しても能動的に協力関係を築くこと。待っていては、いい仕事も回ってこないということになります。