2020年8月27日木曜日

世界を変える

  ジェフ・サザーランド『スクラム』(2015 早川書房)を読みました。長い間積ん読だったのを、ひっくり返してみたわけです。でも読まなかった理由がわかります。実に普通なマネジメントの話です。これがよく読まれたのは、いくつかの重要なテクニックが役立つことと、野中郁次郎先生が推薦していたことが理由だったんだろうな。

 と簡単に考えてはいけませんね。それは最後の章、「世界を変える」です。教育を、政治を、貧困を変える。そのためにスクラムをやれと言っている。私がGMやJ&Jで仕事をしていたとき、これらのアメリカの会社はいつも世界を変えることに取り組んでいた。ところが日本の会社では、そんなことを言うと「おまえはバカか」と言われてしまう。「世界を変える」という視点が弱いのです。

 マネジメントの根幹には世界を変える、よくするという動機があり、その動機が他者に対する影響力にもつながっていくと、私は考えています。それは、バカなことを考え、バカなことをする、ということかもしれません。

2020年8月25日火曜日

相手の歴史を語る

  『新地政学「第三次世界大戦」を読み解く』(山内昌之、佐藤優 中公新書)に、1990年のマルタ会談で、なぜゴルバチョフ大統領(ソ連)は東西ドイツの統一をあっさりと認めたのか、というくだりがありました。ドイツは自由主義陣営の西ドイツと社会主義陣営の東ドイツにわかれており、東ドイツはソビエトにとって重要であったからです。

 佐藤氏によると、それには西ドイツのコール首相の役割が大きかったのだそうです。コール氏はゴルバチョフ氏と差しで話す機会を得ました。そのときに、コール氏はソビエト連邦史をゴルバチョフ氏に語った。ゴルバチョフ氏はその話にいたく感銘をうけ、コール氏を信頼した。そして、ドイツ統一を認めたと。

 自分の国の歴史を語られると、その人に信頼を感じるのはよくわかります。だからコール氏がゴルバチョフ氏に歴史を語ったというのは納得がいきます。

 私の個人的な体験ですが、ある宗教系の学校法人で、理事長を前にしてその学校の歴史を語ったところ、理事長が感激してくださったことがありました。私が驚くほど喜んでくれた理事長に、私は理事になってくれないかと言われたのです。また驚きました。そして「私は信者ではないのですが」と言ったら、今度は理事長に驚かれたことがあります(その学校では信徒でなければ役員はできませんでした)。

 相手の歴史を語ることは、影響力を高めますよ。

2020年8月24日月曜日

生き残る戦略

 仕事がら、困難を抱えた家族をよく知る妻が言うのです。

「ほとんどのケース、奥さんの方が正しいんだよね」と。

「じゃあ、なんであんなことになるの(問題が起こるの)?」

「うーん、突き詰めれば、男の方がからだが大きいからじゃないかな。腕力ではかなわないから言いなりになってしまう」

「・・・・・」

 腕力だけが強さの尺度だったら、世の中荒んでいきますよね。

 「影響力」は、弱者が生き残る戦略のひとつだと思っています。

#影響力の法則 #カレンシーの交換