2020年8月25日火曜日

相手の歴史を語る

  『新地政学「第三次世界大戦」を読み解く』(山内昌之、佐藤優 中公新書)に、1990年のマルタ会談で、なぜゴルバチョフ大統領(ソ連)は東西ドイツの統一をあっさりと認めたのか、というくだりがありました。ドイツは自由主義陣営の西ドイツと社会主義陣営の東ドイツにわかれており、東ドイツはソビエトにとって重要であったからです。

 佐藤氏によると、それには西ドイツのコール首相の役割が大きかったのだそうです。コール氏はゴルバチョフ氏と差しで話す機会を得ました。そのときに、コール氏はソビエト連邦史をゴルバチョフ氏に語った。ゴルバチョフ氏はその話にいたく感銘をうけ、コール氏を信頼した。そして、ドイツ統一を認めたと。

 自分の国の歴史を語られると、その人に信頼を感じるのはよくわかります。だからコール氏がゴルバチョフ氏に歴史を語ったというのは納得がいきます。

 私の個人的な体験ですが、ある宗教系の学校法人で、理事長を前にしてその学校の歴史を語ったところ、理事長が感激してくださったことがありました。私が驚くほど喜んでくれた理事長に、私は理事になってくれないかと言われたのです。また驚きました。そして「私は信者ではないのですが」と言ったら、今度は理事長に驚かれたことがあります(その学校では信徒でなければ役員はできませんでした)。

 相手の歴史を語ることは、影響力を高めますよ。

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