2020年3月5日木曜日

行き着きたいところはあるか

 最近、日本の会社の管理職の方々と相次いでお話しする機会があり、戸惑わされました。「残業時間を減らす」とか「作業工数を減らす」とか。大事なことなのだろうだとは思いますが、うーん、何か違うよなあ。それが目標ですか?

 あらためて、「目標って何だっけ?」と考えさせられました。

 目標とは、「そこに行き着くように、またそこから外れないように目印とするもの」「行動を進めるにあたって、実現・達成をめざす水準」(『大辞林』)だそうです。この定義は面白いですね。「目標」は、「目印」であり「水準」であって、目標自体が行き着くところではないというわけです。他に行き着きたいところがあるのだけれども、道を外れないためには、目印や水準が示される必要があるということですね。だから、「行き着きたいところ」がないところに、目標はあり得ないのです。

 私が違うと感じたのは、お話をした管理職のみなさんには「行き着きたいところ」がないと思えたからです。でもきっとこんなことが、日本の会社では、役所でも、社会全体でも、普通なんじゃないか。感染症禍に対する各方面の場当たり的な対応を見ていると、そんな気がしてしまいます。だとしたら、影響力を発揮する必然はないんです。ともに達成したい「行き着きたいところ」がなければ、味方は不要なんですから。ひとりで行けばいいんです。

 今の感染症禍のおかげで、私たちの生き方が問われていると思いました。



 

 

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