今朝のNHKテレビ「サキどり↑」で、「鍛えないと損するョ!“雑談力”」なる特集をやっていました。
番組で紹介されていたのは、例えば富山県のある銀行で、カウンターの営業業務に雑談を意図的に取り入れ、成績の低迷に歯止めをかけようというもの。
「お客さん、スマホって使ってらっしゃいます?」
「そんなん、使えないよ〜」
「わたし、週末に買ってきました」
「へえ、スマホねえ」
(打ち解ける)
こんな感じです。
番組では、雑談すると「信頼関係ができる」などとも言っています。どういうことでしょう。他にも、大学生に落語家が「雑談は共感だ」と教えていましたが、学生に雑談を教えるのは、悪くないなと思いました。だって、雑談しないでしょう、特に男子は(取り上げられていたのは、工科大学でした)。
出演者は、雑談についてのそれぞれの立場からの発言をされており、それはそれぞれおもしろいと思いました。
そもそも、雑談とは何でしょうか。広辞苑によると「ざまざまの談話。とりとめのない会話」とあります。仮になんらかの下心があったとしても、それ自体に何か目的があって話すわけでないのが雑談でしょう。
さて、影響力の法則で、雑談の効能をどうとらえるか。
雑談では、生活や仕事に関する情報交換、自分自身についての情報開示などが行われており、自分や周りのできごと、気持ちなどを口にすることで、実はカレンシーの交換をしています。とはいっても、ここでは「とりとめのない」些細な話が良いのだと思います。いきなり、深刻な話、難しい話を持ち出されても、かえって話が続かない。
「先週いっぱいで、私、解雇されました」
「・・・・」
よく、政治と宗教の話は避けろ、といいますが、価値観の相違があるかもしれないからだけでなく、そもそも難しい話は続かないのです。お返しのしようがない。
とりとめのない話の重要な点は、話に話を返すことにあるのでしょう。こちらの意図することをくんでくれた、と感じられるのはカレンシーです。ちゃんと対話が成りたっているというのは、カレンシーの交換が続いているということですね。交換が続けば、「こいつはつきあえる」とか「ちゃんと返すやつだ」と認識される。
この「ちゃんと返す」ことが、信頼につながります。信頼とは行動に一貫性あると信じることです。小さな交換を繰り返していくと、大きな交換も返すと信じられますよね。だから、小さな交換は馬鹿にできないどころか、大きな交換をするのに必須なんですね。
ですから、番組でやっていたように、いきなり商売の話をしてもうまくいかない。雑談しながら、商売のための心の準備をしなければならないのです。雑談がはずむと、そこで初めて商売の話ができるわけです。
わざわざテレビで取り上げて、「雑談力」などという言葉をつくってでも取り組む価値がある、ということでしょう。
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