2014年12月25日木曜日

気付いてあげること

   クリスマスの朝、羽田空港に着くと航空会社の職員のみなさんが、サンタクロースの帽子をかぶっている。ところが、搭乗口まで来ると今度は誰も帽子をかぶっていない。それで、スタッフに「ここでは帽子をかぶらないのですか?」と尋ねました。すると「あれは、外(搭乗手続きのカウンター)だけなんですとの答え。そういうことか。
   彼女続けていわく「でも、今日はみんな青のブラウスに統一しているんです。洗濯もローテーションに注意して、揃えました。気付いていただきありがとうございます。

   些細なことでも、気付いてもらって嬉しい、と感じることがあると、改めて実感。これで1日楽しく過ごせるなら、いいじゃないですか。

   メリークリスマス。良い1日を。

2014年9月1日月曜日

週末の(あるいは月末の)学習

    週末に、藤沢武夫「経営に終わりはない」、ジム・コリンズ「ビジョナリーカンパニー②飛躍の法則」を読み返し、米林監督「思い出のマーニー」をみて思ったこと。

    それは、使命をなんと認識しているか、とならんで、ディテールを詰めることで生みだされる価値。そのためには、妥協しない規律と、誰もが目的のために知恵を絞り口出しするのが欠かせないということ。改めて強く認識しました。

    よい1週間をすごしましょう!

2014年4月2日水曜日

価値観を優先するか、結果を優先するか

必要なのは相手から協力を引き出す働きかけであって、自分が価値観を置くものを相手に押しつけることではない。自分の価値観や信念を貫き通すのか、それとも相手を動かすのか。(『影響力の法則〜現代社会を生き抜くバイブル』2005 デビッド・ブラッドフォード&アラン・コーエン 税務経理協会  p130)

    先日、あるメーカーの研究開発部門のマネジャーと、お話ししました。最近は海外の子会社や協力会社と協業で、開発プロジェクトを進めることが多くなっているそうです。それだけ、製品は複雑さを増し、顧客の要求は厳しく、それにもかかわらず組織は身軽になっているのでしょう。社外の能力に依存せざるをえません。

    その彼が、アメリカの子会社のマネジャーと一緒にやっていく難しさについて、話してくれました。彼らは彼らの見解や提案を強力に主張してくる。それで、こちらは言葉を挟む間もないと。そうこうしているうちに、先方の主張が通ってしまい、日本に不利な条件になってしまうと言うのです。
    この話をしてくれた日本のマネジャーは、疲れた様子で、彼らとの会議は気が重い、と言っていました。アメリカのエリートたちは、自分の主張を決して翻さない。彼らは頑固だ。ここで良い成果を上げたら、他社により良い条件で採用されるので、結果を出すことしか考えていない。だから、こちらの主張が通らないのは仕方ないし、どうしようもない。でも、彼らがやっていることは間違っている、と言うのです。

    私には、彼が苦労しているのがよく感じられました。同時にこれは品質上の問題になるんじゃないか、市場に受け入れられず失敗するだろう、と心配になりました。こんなことをくりかえしているのかもしれないな、それでは、会社の業績にも悪い影響が出るなあ。

   ここには、二つの問題があると思います。まず、アメリカ側のマネジャーが日本の状況を理解しようとせず、彼らの主張を押し付けるため、彼らの日本に対する影響力が発揮されていない点。日本側は抵抗しているので、積極的な関与を引き出せずにいます。日本は「仕方ないからやるか。でもうまくいくはずがない」という感じです。
    もう一つの問題は、日本側が「アメリカの連中は自分のことしか考えていない。それは会社員として間違っている。」と考えていること。日本のマネジャーは、一見なにも主張していませんが、心の中では会社では同僚の話を聞き同調すべきだと叫び、自分とは異なる考えを誤りと決めつけています。なぜ、彼らが頑なになっているのか理解しようとせず、個人の問題(自分の利益しか考えない)としている。つまり、自分の価値観を相手に押し付けている点で、アメリカのマネジャーと実はそう変わらないのです。

    こちらの目標は、相手がこちらの意見に耳を傾け、双方が歩み寄れる解決策を導き出すことでしょう。そう考えたら、こちらにできることは、相手が主張する本当の理由を理解しようと努め、一方でこちらが言わなければならないことを、相手にきちんと主張することです。相手が声高に主張するようなとき、多くの場合、こちらも相手を理解していません。こちらが相手を理解するようにすれば、レシプロシティが働き相手も歩み寄る可能性が出てくる。少なくとも、諦めているよりは、良い結果になるはずです。

2014年3月26日水曜日

完璧な上司はいない

仕事を忘れず、かつ思いやりがあり、部下の気持ちを傷つけずに間違いを正し、成り行き任せにせず部下に自由裁量を与えることができる完璧な上司など、本当にいるのか?賢くて万能な上司は想像上の世界にしかいない。これを真に受ければ、組織というワナにはまった「夢見る部下」がとり残されるだけだ。(『影響力の法則〜現代社会を生き抜くバイブル』2005 デビッド・ブラッドフォード&アラン・コーエン 税務経理協会  p132)

    現場のみなさんに話を伺うと、最後は上司に対する不満になることが多いです。「上司の戦略は間違えている」「上司にはもっと支援して欲しい」「あまり口を出さないで欲しい」などです。できることなら完璧な上司であってほしい。今朝の新聞には「理想の上司」ランキングが出ていましたが、凄い上司を演じた俳優さんが並んでいますね。このような上司に対する願望を"Romance of Leadership"と呼び、そのようなリーダー像を"Heroic Leadershp"と呼びます。自分の経験を振り返っても、そう感じることはありましたから、事実をついているのだと思います。

    しかし、現実には上司も人間だしなんでもできるわけではありません。変化が早い現在の事業の環境の中では、むしろできないことが増えています。マネジャーの悩みに、「部下の専門分野がわからない」というのが増えています。だから指導できない、といって悩むマネジャーも少なくありません。メンタルヘルスに問題を抱えて、休職してしまう人もいました。それをみて、マネジャーにはなりたくない、という若手も多いと思います。

    でも、上司がなんでもできるわけではない。これが現実なのです。マネジャーはこの現実受け入れて、対応を変えなければならないし、それでうまく行っている人もいます。上手に影響力を発揮を発揮しているマネジャーもいます。一方、部下も、この現実を受け入れて、役割を変えなければなりません。部下も上司に影響力を発揮して、協力関係を築かなければなりません。『影響力の法則』では、(ジュニア)パートナーになれ、と提案しています。

   その方が、仕事を面白くやれるし、事実楽しんでいる人たちは、そうしていると思います。上司に対しても能動的に協力関係を築くこと。待っていては、いい仕事も回ってこないということになります。

2014年1月4日土曜日

上司は動かせる

上司に対して提供できることは、多くの場合「期待された仕事を納期内に終える」「礼儀正しく振る舞う」など一般的なものしか思いつかず、その上司が求めている他のカレンシーには案外と気がつきにくい。(『影響力の法則〜現代社会を生き抜くバイブル』2005 デビッド・ブラッドフォード&アラン・コーエン 税務経理協会 p133)

   多くのマネジャーが「上司を味方につけるといい」ことを知っていると思います。でも、実際には上司を動かして味方にしているマネジャーは、まだまだ少ないと思います。その結果、せいぜい「いい上司に当たればいい仕事ができる」程度の認識なのは残念です。
   なぜ上司を動かさないか?それは私たちが、上司を動かすカレンシーをまだよく知らないからだと思います。確かに礼儀正しく振る舞うのは悪くないのですが、それはあくまでも「私はあなたの下ですよ」という意味に過ぎません。上司から見れば、部下が下なのはあたりまえであって、むしろことさらに下手にでる相手のその意図がわからないと、上司は何か下心があるのではないか、と警戒s。

   では、上司に対して何がカレンシーになるのでしょうか?もちろんあなたの上司には、あなたの上司の特別な事情があります。ですから、カレンシーを決めつけることはできません。ただ、一般論として言えるのは、上司の目標達成に役立つことなら、カレンシーになり得るということです。具体的には、あなた自身の目標達成、目標達成への意欲を示す、約束する、その根拠(例えば顧客の言葉)を示すなどです。

   あるプロモーション企画担当のマネジャーは、新しいサービスを企画してリリースした時のことを話してくれました。彼は、事業部の幹部に対するプレゼンテーションで、このサービスが有望な市場を切り開けるとデータを示して説明し、彼の戦術を説き、最後に「必ず来季中に10億円売ります。ですから、この企画に1億の予算をください」と締めくくりました。幹部たちが話を聞きながら身を乗り出してきたので、「いける」と思ったのだそうです。果たして、彼の企画は実現しただけでなく、営業部門の協力も得られ、幹部との約束は果たせそうだと胸を張っていました。

   この「成果の約束」と「承認と予算」の交換は、上司を動かす基本パターンです。上司にとっても、目標の達成が最大の課題なのです。助けてくれる部下は歓迎されます。私たちは、自分の目標達成が上司の目標達成につながることを、常に意識していましょう。

   他に効果的なカレンシーには、「上司の良い評判を流すこと」があります。部下の評価が高いマネジャーは、そうでないマネジャーよりも、「いい仕事をしている」と見なされるようです。上司としては仕事しやすくなるでしょうから、カレンシーとうけとめられるでしょう。

   どうやら、カレンシーの選択肢は、1つや2つではなさそうですね。上司の立場に立って考え、どうしたら助けになるかを考えて行くことで、これまで以上に上司を味方として考えられるのではないでしょうか。今年の課題としてみてください。