久しぶりに読むと、あらためてリーダーの力を思い知りました。日産自動車は、1999年の販売台数250万台、売上高6兆円の企業でした。現在は550万台、12兆円と、ほぼ2倍の規模に成長をとげています。日本の自動車販売市場は、1991年の777万台をピークに1999年には580万台、現在は520万台に縮小している一方、世界では5500万台(1999年)から9500万台(9500万台)に拡大している。日産も国内販売は減らしていますが、グローバルではおよそ3倍に台数を伸ばしている。1999年当時の延長には日産はなかったはず。グローバルに舵取りし、これだけの成果をあげてきた日産自動車、カルロス・ゴーン、あらためてすごいことだと感心します。
そのマネジメントについては、いろいろ言われていますからよいとして、あらためて感心するのは高い目標に対して、従業員にコミットメントを求めて達成させてきたこと。
初期のリバイバルプランで日産が目標として掲げたのは、購買コスト20%削減、サプライヤーの系列解体、ディーラー10%閉鎖、国内生産能力30%削減(工場閉鎖)、2万人超の人員削減、などです。厳しい現実を直視すること、問題の理解、必ず達成するという強い決意、実行、を、すべてのマネジャー、従業員に求めているのです。
初期のリバイバルプランで日産が目標として掲げたのは、購買コスト20%削減、サプライヤーの系列解体、ディーラー10%閉鎖、国内生産能力30%削減(工場閉鎖)、2万人超の人員削減、などです。厳しい現実を直視すること、問題の理解、必ず達成するという強い決意、実行、を、すべてのマネジャー、従業員に求めているのです。
誰だって、これまでの自分の仕事を否定されるのは愉快ではありません。「君のこれまでの仕事は、まったくもって論外のレベルだ」などと言われて、穏やかではいられないでしょう。変化に抵抗する気持ちがわき起こるのは当然です。
これまでの仲間と決別させなければならない、自分たちが築いた資産を手放させなければならない、会議には英語で臨ませなければならない。そこでリーダーが交換に差し出したカレンシーは何だったか。
CFTと呼ばれるタスクフォースのメンバーに抜擢し、会社の重要な意思決定に関わらせる、業績給制度を取り入れる、従業員の質問に直接答える、責任は自分ひとりで負うと明言するなどが、ケースには書かれています。これらがすべて、カレンシーとして交換されています。さらに日産のもつ技術力を高く評価し、従業員に「君たちならできる」と繰り返し説く。この繰り返し伝えるという点が、カレンシーとして重要なことだと思うのです。
多くのマネジャーは、一度はビジョンを語る。従業員を褒める。でもいつも同じことを、繰り返し何度も言う人は案外少ない。いつも同じことを言うということは、いつも同じことをしなければならない。一貫性が求められる。一貫した行動こそ信頼です。「もっと裏付けをとって来なければだめだ。君ならできる」と何度も突き返したとしても、実は部下に要求を繰り返すこと自体が、カレンシーになっていたのでしょう。
大きな要求には、大きなカレンシーが必要になる。あらためて実感したところです。
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