2015年1月21日水曜日

厳しく温かい

    京都にある「松下資料館」を訪ね、PHPの渡邊編集長にご案内いただきました。見せていただいた資料に、松下幸之助の部下だった方たち(パナソニックグループの幹部)の、幸之助氏についての経験と思い出です。数人の幸之助談はみな共通していて、「怒ると血の気が引くほど恐ろしい。でもそのあと必ず配慮を感じること」でした。
    みなさんが同じような話をされるのは、そんな経験をくぐってきた人たちだから、幹部になったとも言えるし、期待した人たちだからそのような経験をしたとも言えます。明らかに「血の気が引く経験をして学んだことがあった」ようです。

    ここで思い出したのは、以前勤務したアメリカ系企業の社長が、"我が社は「厳しく温かい」会社だ"と言っていたこと。世の中には甘い上司が大勢いて、彼らはいざという時部下に冷たい。私はそんな会社を目指しているわけではない。私は厳しい、でも温かい、と言うのです。なるほど、厳しい水準を要求する方で、でも部下はついていた。結果、彼がトップだったときはずっと業績が良かったのです。

    「厳しい要求と、温かい配慮」は上司と部下の間で交わされる、基本的なカレンシーの交換です。優れた上司は、要求しているが、部下を尊重する。でも、今話をしているマネジャーたちは、要求しないか、配慮がないか、です。

    部下と交換されているカレンシーは、十分か?チェックしてみてはいかがでしょうか。

    ご案内いただいた渡邊編集長に、感謝します。

2015年1月1日木曜日

問題を認めること

    混み合った夕刻の東京行きの飛行機の機内で。
    私は、ようやく席にたどり着き、着席しようとしていました。そこに、強面の少し太ったお兄さんがやってきて、「そこ、違いますよ」と不機嫌そうに言います。急いで自分の座席と座席番号を確認。ああ、ひとつずれていたんですね。そして、「すみません」とわび、「私が間違えました」といいました。
    するとどうでしょう。その強面の男が、にっこり笑ったんです。とても満足そうでした。その反応に、私も笑顔を返したのはいうまでもありません。
    この時、私が感じたことは、「私が間違えました」のひとことが、相手の心に変化を生んだということです。おもしろいな、と思いました。彼は、私がわびたことではなく、間違えを認めたことに彼が反応したのですから。

    考えてみると、平謝りするくせに誠意が感じられない人は、本当は間違いを認めていない、と相手に感じさせてしまいます。本心は違うなと感じれば、信用しません。結果、相手はカレンシーを受け取ろうとしないでしょう。対して、間違いを認める人からは誠意が感じられます。また、間違いから学ぶので次は間違わないだろうと思われます。(そして、事実、間違いがなくなる確率が高まります)そういう態度をとると交換しやすく、よい関係が築けるでしょう。

     新年を迎え、あらためて、自分の問題や間違いに正直でありたいと思いました。そして、1年、より豊かな交換を通して、与えられた役割を果たしていこうと決意しました。

     本年も、どうぞよろしくお願いいたします。