2017年7月7日金曜日

専門家のプライド1

ある人事マネジャーとお話ししている時に、新しい制度を導入するのだが、営業部門のトップが反対して、止まってしまっている。どうしたらいいだろう、とご相談を受けました。

この会社は、営業部門がとても強い会社です。過去には業界をリードする製品がありましたが、その後端境期が長く厳しい競争にさらされていた時に、営業力でしのいできたのです。その時に培った営業ノウハウは業界の標準と言えるまでになり、メディアにも取り上げられたほどです。

ですから、開発や生産、管理のトップは、営業本部の言うことを尊重しなければ、という暗黙の了解があります。

今回の制度の大きな目玉は、働き方改革にともなって、残業を減らすことです。営業管理職以外の営業担当者の残業は事実上できなくなります。これまで長時間の勤務で売上を上げてきた営業本部。これからは、効率が求められます。でも営業本部長には、営業は人間関係で築くものとという強い信念があります。

案の定、役員会では、営業本部長(常務執行役員)が反対意見を述べました。強い口調であったので、他の役員たちは下を向いてしまったそうです。

しかし、これから優秀な営業担当者を採用しようとすると、長時間勤務が常態化した組織には、欲しい人材が来てくれなくなるという危惧を感じます。
それに近年小さな交通事故が増える、退職者が増えるなど、問題が明るみになってきています。マネジャーは、制度を変えるのは、今しかないと考えています。

このケース、どのように影響力を発揮して、人事制度の早期改定を進めていったら良いでしょうか?

まず、対応すべきステークホルダーがだれなのかを特定しましょう。
(つづく)