2014年1月4日土曜日

上司は動かせる

上司に対して提供できることは、多くの場合「期待された仕事を納期内に終える」「礼儀正しく振る舞う」など一般的なものしか思いつかず、その上司が求めている他のカレンシーには案外と気がつきにくい。(『影響力の法則〜現代社会を生き抜くバイブル』2005 デビッド・ブラッドフォード&アラン・コーエン 税務経理協会 p133)

   多くのマネジャーが「上司を味方につけるといい」ことを知っていると思います。でも、実際には上司を動かして味方にしているマネジャーは、まだまだ少ないと思います。その結果、せいぜい「いい上司に当たればいい仕事ができる」程度の認識なのは残念です。
   なぜ上司を動かさないか?それは私たちが、上司を動かすカレンシーをまだよく知らないからだと思います。確かに礼儀正しく振る舞うのは悪くないのですが、それはあくまでも「私はあなたの下ですよ」という意味に過ぎません。上司から見れば、部下が下なのはあたりまえであって、むしろことさらに下手にでる相手のその意図がわからないと、上司は何か下心があるのではないか、と警戒s。

   では、上司に対して何がカレンシーになるのでしょうか?もちろんあなたの上司には、あなたの上司の特別な事情があります。ですから、カレンシーを決めつけることはできません。ただ、一般論として言えるのは、上司の目標達成に役立つことなら、カレンシーになり得るということです。具体的には、あなた自身の目標達成、目標達成への意欲を示す、約束する、その根拠(例えば顧客の言葉)を示すなどです。

   あるプロモーション企画担当のマネジャーは、新しいサービスを企画してリリースした時のことを話してくれました。彼は、事業部の幹部に対するプレゼンテーションで、このサービスが有望な市場を切り開けるとデータを示して説明し、彼の戦術を説き、最後に「必ず来季中に10億円売ります。ですから、この企画に1億の予算をください」と締めくくりました。幹部たちが話を聞きながら身を乗り出してきたので、「いける」と思ったのだそうです。果たして、彼の企画は実現しただけでなく、営業部門の協力も得られ、幹部との約束は果たせそうだと胸を張っていました。

   この「成果の約束」と「承認と予算」の交換は、上司を動かす基本パターンです。上司にとっても、目標の達成が最大の課題なのです。助けてくれる部下は歓迎されます。私たちは、自分の目標達成が上司の目標達成につながることを、常に意識していましょう。

   他に効果的なカレンシーには、「上司の良い評判を流すこと」があります。部下の評価が高いマネジャーは、そうでないマネジャーよりも、「いい仕事をしている」と見なされるようです。上司としては仕事しやすくなるでしょうから、カレンシーとうけとめられるでしょう。

   どうやら、カレンシーの選択肢は、1つや2つではなさそうですね。上司の立場に立って考え、どうしたら助けになるかを考えて行くことで、これまで以上に上司を味方として考えられるのではないでしょうか。今年の課題としてみてください。